2007/10/28 33th DAD'S CIRCUIT MEETING SCENE IN THE 60's

一方、小山選手はダンロップG5が生産中止になった後もバイアスレーシングタイヤにこだわり続けている。
他の皆が履いている最新ラジアルのSタイヤを使えば安全にタイムがグンと上がることは解っていてもあえて使わない。
Sクラスの野村選手も同じであるが、ストイックなまでにヒストリックにこだわり続けている。
12インチは全くの論外、10インチであっても絶対に履かない!
だが、MkJ・MkKが現役の頃からある英国ダンロップのCR65ではエンジンパワーの限られるこのクラスではもはや太刀打ちできない。
その結果、今回も苦しい戦いを強いられクラス最下位に沈んでしまった。

そして、その付けは野村選手にも回って来ることになった。

続いて行われたTSクラスの予選。
野村選手は全く精彩を欠く走りに終わってしまう。
本人もこんなタイムは初めて見たであろう 1'15.973 でこちらもクラス最下位に終わってしまった。

各選手の思いは様々であるが、午後になりSクラスから先に決勝が始まった。

TSとその上のMクラス(改造範囲が1番広い)が混走で行われるこのクラスの決勝。
グリッドに付いた野村選手のマシンはトップから6列後方の12番手からのスタートになった。

各車スターティンググリッドに並び終わり、カウントダウンがはじまる。そして、シグナルグリーン!猛然とダッシュするマシン達。
そしてこの時、野村選手が素晴らしいロケットスタートをきめてみせた!いつかの筑波とは大違いである。

中山サーキットのストレートはものすごく短い。野村選手もスタート直後の大混戦の中まさにダンゴ状態で1コーナーに飛び込んでいった。

1週目を終えてコントロールラインに帰ってきたとき順位はなんとクラス3番手に上がっていた。一気に表彰台圏内に踊り出た野村選手の走りは予選の時とは比べ物にならないほどキレがあり、決勝タイムは混戦の中13秒台前半まで上げてきていた。

しかし、安心する暇は無くレース中盤をむかえた頃、後方に#67 日下選手の水色のべレットGTが迫ってきた。

日下選手は数年ぶりに復活なった自分の愛機で走れることの嬉しさからか、 この日は予選中から素晴らしいパフォーマンスを見せていた。

これは苦しい展開になるか?と我々が心配していた時その3位争いはあっけ無く幕を閉じた。

なんと野村選手が最終コーナーで!簡単にインを開け、あっさり先行を許してしまった!と言うよりは、譲ってしまったのだ!

その後続は押さえきり結局4位でフィニッシュした野村選手が満面の笑顔でピットに帰ってきた。

マシンから降りた瞬間に皆から浴びせられる罵倒の嵐!「何しょーるんねぇ!」・「何でもっと押えんのんよぉ!」・「どうして簡単にべレット行かせたんねぇ!」。

野村選手は「???」の表情を浮かべている。「え〜ぇ?最下位から3位にはいったのに
何でみんな怒っとるんよねぇ?」

そして我々は口を揃えて答えた「何言いよるんねぇ?べレットは同じクラスじゃけぇ4位よねぇ!!」

「うそぉ〜っ!!わしゃあてっきり上のクラスと思うとったんよねぇ・・・」

たしかに最下位スタートで4位フィニッシュでも立派なのだが、見せ場を作りながらオチがある。
この辺が野村選手らしい笑える結果だった。
text & phot : Y-Moriwaki  Copyright(c) : H.K First Engineering Co.,Ltd. All Right Reserved. 2007